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【ピレリ:ライダーインプレッション】 MTBタイヤ SCORPION™のProWALLとHardWALLの違いをテスト

  • PIRELLI
  • 特集

里山ライドでタイヤの違いを徹底検証

多彩なラインナップを展開するPIRELLIのMTBタイヤSCORPION™シリーズ。
今回はその中からSCORPION™ ENDUROを使用し、タイヤ内部のケーシング構造の違いがライドフィールにどう表れ、どういったシーンで使うのにオススメなのかを、PIRELLIアンバサダーの竹之内悠選手にインプレッションしていただいた。

テスタープロフィール

PIRELLIアンバサダー 竹之内 悠

2011-2015 全日本シクロクロス選手権 5連覇、2019 初代E-MTB全日本チャンピオン、2019 全日本マウンテンバイク選手権 エリミネーター チャンピオンなど国内外のレースで輝かしい成績を収め、その傍ら立命館大学自転車競技部監督(2019~)、JCACジャパンサイクリングアカデミー講師(2021~)、京都府自転車競技連盟理事(2022~)など後進の育成にも力を入れている。
現高知県宿毛市 宿毛大使。

テストタイヤ

PIRELLIのMTBタイヤは用途に合わせケーシング構造を何種類も使い分けている。
その中でもProWALLはXCレーシングやマラソン、ダウンカントリー、軽快なトレイルなどに向けた設計。サイドウォール強化層を有し、耐パンク性能と低圧時のハンドリングを向上させている。PIRELLI MTBタイヤが登場した当初から存在し、これまで数々の成功を収めている。
対してHardWALLはタイヤ全体を覆う強化層に加え、ビードの上部に硬いラバーを配置。複数の補強による高い耐パンク性能と低圧時・高荷重時のリム打ち保護を提供。トレイルやエンデューロに向けた特別な設計となっている。

今回はSCORPION™ ENDURO M ProWALL(以下M Proと記載)と、SCORPION™ ENDURO M HardWALL(以下M Hardと記載)というケーシング構造の異なる2種類のタイヤに加え、後輪専用設計のSCORPION™ ENDURO R ProWALL(以下R Proと記載)も用意した。


SCORPION™ ENDURO M ProWALL

ハードパックからルーズ、ソフトコンディションまで様々な路面に対応し、ドライ/ウェットの両方でグリップとスピードのバランスを最適化。
あらゆる地形を含むトレイルで最適の選択。高い信頼性により長寿命を実現した真のオールラウンダー。

SCORPION™ ENDURO M HardWALL

上記タイヤのサイドウォール違いモデル。
トレイルやエンデューロでのアグレッシブなライドに対応する、より強固なプロテクションとサポートを備えたHardWALL仕様。

SCORPION™ ENDURO R ProWALL

SCORPION™ ENDURO Mとセットで使用することを想定した設計の後輪専用モデル。
トラクションとブレーキングのためのグリップを強化した特別なトレッドパターンを採用。

各タイヤについての詳しい情報は製品ページに掲載しているので、そちらも併せてご確認いただきたい。

テスト環境

関西のライダーが多く訪れる丘陵地帯。路面は土30%、ジープロード30%、岩5%、オンロードといった割合。
比較的岩のゴツゴツしたフィールドと、気持ちの良いバンクの付いた野山といった印象のコース。

1st テストライド

コンディション/使用機材
晴れ/路面ドライ。
テスト1回目は前後共にProWALLのタイヤを使用。
フロントにM Pro、リアにR Proをセットアップした。
ホイールはエンデューロ仕様に合わせ、FULCRUM RED METAL 5を準備した。

装着に関して
ホイールへの組み付けは何の問題も無く一発で完了。
気になった点として、同じサイズ表記でもRはMに比べて約2mm太かった。これはHardWALLで試しても同じ結果で、Rを使用する際にはフレームとのクリアランスに注意が必要なケースがあるかもしれない。
それぞれブロックの大きさや密度、配置も大きく異なる。

SCORPION™ ENDURO R タイヤ幅約58mm
SCORPION™ ENDURO M タイヤ幅約56mm

実走してみて
MのタイヤはXCモデルでも使用していたので大きく印象は変わらず、よくできたタイヤという印象。欠点があまり見当たらない。

ENDUROモデルのRはノブが大きく、横配列のブロックパターンのおかげでブレーキング時の制動力が凄く上がり、ブレーキングでリアが安定しやすい印象を持った。
Rの特性はグラビティ系の走りで力を発揮するタイヤだと認識できたが、好き嫌いが分かれるポイントとも思う。

2nd テストライド

コンディション/使用機材
使用タイヤは前後M Hard。ホイールは引き続きFULCRUM RED METAL 5を使用。

装着に関して
組み付けには苦労した。タンク付きのフロアポンプで一気にビードを上げたかったが、なかなか上がらず回数勝負でビードを上げられた。ウォールが硬い分押し上げる力が必要なのだろうか。
前後で太さは変わらず、Rはやはり仕様としてやや太めに作っているのかもしれないと感じた。

実走してみて
空気圧は前後1.5bar→前後1.2barと変更。
HardWALLにして予想通り走りに重さを感じるようになったが、前後Mのタイヤバランスは良く、動きは鈍いがバイクは素直に動いてくれる印象。
途中、空気圧を1.2barまで下げてみた。そうすると路面との当たりが良くなり、スピード域が上がった。
全体的にブロックの大きさとサイドウォールのバランスが良く感じ、エンデューロ向けタイヤとして完成度の高さを感じた。

ProWALL x HardWALL 比較検証ライドを終えて

XCモデルの時はLiteとProWALLで随分と迷ったが、僕自身の好みとして、走りの軽さとしなやかさをタイヤに求めるため、主にLiteを選択ている。これは選手の中でも意見が分かれ、好みの範疇だと思われる。

今回のSCORPION™ ENDUROのProWALLとHardWALL比較検証で、ProWALLはブロックの高さと大きさにサイドウォールが負けているのか、少しグリップ感に不安定さを感じるシーンがあった。エンデューロ系タイヤとしての完成度はHardWALLの方が高く、空気圧によって変化もできるが、ENDUROモデルのブロックの大きさを支える土台としてとても安定しており、タイヤ自体の重さにタイヤ自体がしっかりと自立しているような印象を覚えた。

ProWALLは、里山系やタイヤ自体に柔らかさを求めるライダー、登りも下りも安心して走りたい、エンデューロ系でもオールマウンテン系の走り方をするライダーにおすすめしたい。タイヤの軽快感もあり、ブロックも大きい。日本だとどうしてもクロカン系が取り上げられやすいかと思うが、一般マウンテンバイカーにはこのタイヤはとても良いように思う。女性やエントリーユーザーに対してもアプローチがしやすいタイヤに感じた。
XC系バイクで里山ライドをするのであればProWALLを入れるのが良いと思う。HardWALLをチョイスするとややオーバースペックに感じた。

HardWALLはProWALLに比べ、よりコアにマウンテンバイクを走る方向け。このタイヤを活かすなら、日本のマウンテンバイクパーク(富士見パノラマやフジテンなど)をより楽しみたい、プラス普段は里山も走るよといったコアな遊びをするライダーにはぴったりだと思う。走りの軽快感は損なわれるが、下りの安定性、タイヤの耐パンク性やタイヤ自体のしっかり感を考えても、里山を相当なスピードでコントロールしないと持て余してしまうタイヤに思う。それならば、パークなどのしっかり飛ばせるところで遊ぶライダーにはぴったりではないだろうか。

使い分け方としては、上記の2つの違いを自身の使用バイクと目的に応じてProWALL / HardWALLを選択し、それからブロックパターンをセレクトしていただくのが最良かと思う。


リンク
PIRELLI:MTBタイヤ

編集:阪井洸仁

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