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【PIRELLI|レポート】世界最高峰のレースが証明したタイヤ選択

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ツール・ド・フランス2026で勝利を支えた P ZERO Race TLR RS と P ZERO Race TLR SL-R

P ZERO Race TLR SL-RとP ZERO Race TLR RSでツール・ド・フランス2026を戦った リドル・トレックとアルペシン・プレミアテック。

世界最高峰のレースであるツール・ド・フランスでは、ライダーやチームだけでなく、機材にも極限の性能が求められる。高速スプリント、長距離の逃げ、荒れた舗装、そしてパリ・シャンゼリゼの石畳まで、21日間で要求される性能は大きく変化する。

2026年大会でPIRELLIは、P ZERO Race TLR SL-RP ZERO Race TLR RSという2つのレーシングタイヤを武器に、その状況へ的確に対応した。SL-Rは高速ステージで2勝、RSはより厳しい路面条件のステージで2勝を挙げ、最終ステージでは表彰台を独占。さらにポイント賞、チーム総合優勝、ベスト・チームメイト賞の獲得にも貢献した。

注目すべきなのは、「一つのタイヤですべてを戦った」のではないという点である。コースプロフィールや路面状況に応じて最適なモデルを選択し、それぞれの性能を最大限に引き出したことが、2026年ツール・ド・フランスでの結果につながった。

本記事では、4つの勝利を振り返りながら、世界最高峰の舞台で証明されたPIRELLIのタイヤ戦略と、2つのレーシングタイヤの違いを読み解いていく。

ツール・ド・フランス2026

2026年ツール・ド・フランスで、PIRELLIを使用するリドル・トレックとアルペシン・プレミアテックは4つのステージ優勝を記録した。さらに最終ステージでは、マチュー・ファンデルプール、ヤスペル・フィリプセン、マッズ・ピーダスンが1〜3位を独占。大会全体ではマッズ・ピーダスンがポイント賞、リドル・トレックがチーム総合優勝、クイン・シモンズがベスト・チームメイト賞を獲得するなど、3週間を通して高いパフォーマンスを示した。

その勝利を支えたのが、空力性能と転がり抵抗を追求したP ZERO Race TLR SL-Rと、スピード・グリップ・耐パンク性能のバランスを高めたP ZERO Race TLR RSである。コース特性に応じて2つのタイヤを使い分けるという戦略は、世界最高峰のレースにおいて、その有効性を結果で示した。

第4ステージで優勝し、ポイント賞のグリーンジャージに袖を通したマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)。
ステージ4勝に加え、ポイント賞やチーム総合優勝など大会を通じて存在感を示したPIRELLIサポートチーム。

PIRELLIサポートチーム勝利一覧

ステージ優勝2位3位使用タイヤ
第4ステージマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)クイン・シモンズ(リドル・トレック)P ZERO Race TLR SL-R
第9ステージマチュー・ファンデルプール(アルペシン・プレミアテック)P ZERO Race TLR SL-R
第17ステージヤスペル・フィリプセン(アルペシン・プレミアテック)P ZERO Race TLR RS
第21ステージマチュー・ファンデルプール(アルペシン・プレミアテック))ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・プレミアテック)マッズ・ピーダスン(リドル・トレック)P ZERO Race TLR RS

最終日のシャンゼリゼステージにスペシャルバージョンのバイクを揃えたリドル・トレック。
第21ステージではPIRELLIサポートチームが表彰台を独占。大会を象徴するフィナーレとなった。

勝利を支えたタイヤ選択

ステージごとに読み解くRSとSL-Rの使い分け

2026年ツール・ド・フランスで特徴的だったのは、コースに応じてSL-RとRSを明確に使い分けていたことである。

最初の勝利となった第4ステージでは、マッズ・ピーダスンがP ZERO Race TLR SL-R Team Edition(30-622)を装着し、新型SL-Rにツール・ド・フランス初勝利をもたらした。さらにチームメートのクイン・シモンズも2位に入り、リドル・トレックがワン・ツーフィニッシュを達成している。

続く第9ステージでは、マチュー・ファンデルプールが一日を通したアタックから独走勝利。この日も使用されたのはP ZERO Race TLR SL-Rだった。PIRELLIは、リドル・トレックとアルペシンプレミアテックの両チームがSL-Rを採用していることを紹介し、社内テストだけでなく実戦でもその性能が証明されたとしている。

一方、第17ステージでは選択がP ZERO Race TLR RSへ切り替わる。PIRELLIは「より厳しい路面条件」であったことを理由に挙げ、耐パンク性能を高めながらスピードとグリップ、レース性能を維持できるRSが理想的な選択だったと説明している。マチューの猛加速からのリードアウトに発射されたヤスペル・フィリプセンはそのRSでステージ優勝を飾った。

そして石畳を含む第21ステージでは、ファンデルプール、フィリプセン、ピーダスンの3選手全員がP ZERO Race TLR RSを選択し、1〜3位を独占。PIRELLIはRSについて「スピード・グリップ・耐パンク性能の理想的なバランス」を改めて強調しており、大会の締めくくりにふさわしい結果となった。

4つの勝利を比較すると、SL-Rは高速域での効率を重視するステージ、RSは路面からの影響が大きいステージで選択されていることが分かる。メーカーは個別ステージごとの詳細な選定理由までは公表していないが、それぞれの製品特性を活かしたタイヤ選択が行われていたと考えられる。

左:登り下りが繰り返される丘陵ステージ 右:荒れたアスファルト路面が含まれるカテゴリー山岳を含む平坦ステージ
高速ステージではSL-R、より厳しい路面条件ではRSと、コース特性に応じたタイヤ選択が勝利を支えた。

P ZERO Race TLR RS

あらゆるレースコンディションで勝利を狙う、PIRELLIのフラッグシップ

P ZERO Race TLR RSは、ワールドツアーで培った開発ノウハウを投入したPIRELLIロードレンジのフラッグシップモデルである。新世代のSmartEVO²コンパウンドSpeedCOREケーシングを採用し、転がり抵抗、グリップ、ハンドリング、耐パンク性能を高次元で両立。120TPIケーシングを採用し、28mmサイズで290g、30mmサイズでも310gという軽量性を実現している。フックレスリムにも対応し、現代のロードレース機材に最適化された設計となっている。

その総合性能は、2026年ツール・ド・フランスでも証明された。より厳しい路面条件となった第17ステージではヤスペル・フィリプセンがRSを装着して勝利。さらに石畳を含む最終の第21ステージではマチュー・ファンデルプール、ヤスペル・フィリプセン、マッズ・ピーダスンの3選手がそろってRSを選択し、表彰台を独占した。メーカーも「スピード・グリップ・耐パンク性能の理想的なバランス」が、このタイヤを選択した理由であると説明している。

第三者機関による性能評価でも、その特徴は明確に表れている。28mmモデルは転がり抵抗10.5W耐パンク性能43ポイントウェットグリップ80ポイントを記録。評価では「トップクラスのオールラウンドレーシングタイヤ」と位置付けられ、転がり抵抗だけでなく、耐パンク性能やウェットグリップまで含めた総合性能の高さが評価されている。(Bicycle Rolling Resistance)

最高速だけを追求するのではなく、あらゆるコンディションで高いパフォーマンスを発揮すること。それこそがRSの開発思想であり、ツール・ド・フランスでの2勝と表彰台独占は、その思想を結果で証明したと言える。

第17ステージ、カテゴリー山岳を含む平坦ステージのスプリント勝負に勝ったヤスペル・フィリプセン(アルペシン・プレミアテック)

第17と21ステージを制したP ZERO Race TLR RS。あらゆるコンディションで高い総合性能を発揮するフラッグシップモデル。

P ZERO Race TLR SL-R

空力性能と転がり抵抗を極限まで追求した、新世代レーシングタイヤ

P ZERO Race TLR SL-Rは、「究極のスピード」を目標に18か月の開発期間をかけて誕生した、PIRELLI史上最速のロードタイヤである。開発では14回の形状・構造の設計反復を行い、8回のPIRELLI単独風洞試験(パートナーとの共同試験を含め計10回)、さらに4種類の風洞施設を用いて性能を検証。モータースポーツで培ったCFD解析技術も活用し、タイヤ単体ではなくホイールとの空力性能まで最適化している。

最大の特徴は、新開発のLiteCOREケーシングPAAS(Pirelli Advanced Aerodynamic System)である。LiteCOREはPIRELLI史上最も軽量でしなやかなチューブレスレディケーシングで、28mmサイズの重量は275g。さらに転がり抵抗をRS比で10%低減した。PAASはタイヤとリムの境界で発生する気流の剥離を抑え、通常条件で約2W、横風条件では平均5W、条件によっては最大15Wの空力性能向上を実現するとしている。

その性能はデビューイヤーからツール・ド・フランスで結果を残した。第4ステージではマッズ・ピーダスンがSL-Rで優勝し、新型タイヤにツール初勝利をもたらす。続く第9ステージではマチュー・ファンデルプールが長時間の独走を成功させ、SL-Rで2勝目を記録した。いずれもSL-R 30-622のTeam Editionが使用されている。

第三者機関による性能評価でも、28mmモデルは転がり抵抗8.4Wを記録し、RSより約2W低い値を示した。一方で、耐パンク性能41ポイントウェットグリップ80ポイントも維持しており、低転がり抵抗だけを追求したタイヤではなく、レースで求められる実用性能との両立も高く評価されている。(Bicycle Rolling Resistance)

空力性能、転がり抵抗、グリップ、ハンドリング。そのすべてを高いレベルで成立させるという開発思想が、世界最高峰のレースでの2勝という結果につながったのである。

第4ステージ、4つのカテゴリー山岳を含む丘陵ステージでワンツーフィニッシュを決めたマッズ・ピーダズンとクイン・シモンズ(リドル・トレック)

ツール・ド・フランス初勝利を挙げたP ZERO Race TLR SL-R。PAASとLiteCOREが新たなスピードを生み出した。

世界最高峰のレースが証明したタイヤ戦略

2026年ツール・ド・フランスで印象的だったのは、「一本ですべてを戦う」のではなく、コース特性に応じてタイヤを使い分けるという戦略だった。

高速域での巡航性能や空力性能を最大限に活かしたいステージではSL-Rを、荒れた舗装や石畳など、グリップや耐パンク性能が勝敗を左右するステージではRSを選択する。メーカー資料を通しても、その思想は一貫している。

プロチームのタイヤ選択は、ホビーライダーにも通じる考え方だ。スピードを最優先するのか、あらゆる路面に対応できる安心感を重視するのか。走るフィールドや目的に応じてタイヤを選ぶことで、自転車本来の性能をさらに引き出すことができる。

RSとSL-R。それぞれの特性を活かしたタイヤ選択が、2026年ツール・ド・フランスで4勝と数々のタイトル獲得を支えた。

ツール・ド・フランス2026で証明されたのは、「最速のタイヤ」が勝ったというだけでなく、「コースに最適なタイヤを選ぶ」という戦略が勝利を支えたという事実だった。

P ZERO Race TLR SL-Rは、空力性能と転がり抵抗を極限まで磨き上げ、高速ステージでその真価を発揮した。一方のP ZERO Race TLR RSは、スピードに加えてグリップや耐パンク性能まで高いレベルで両立し、難易度の高いステージで勝利を支えた。

同じP ZERO Raceシリーズでありながら、その個性は明確に異なる。

世界最高峰のレースで磨かれ、勝利という結果で証明された2つのレーシングタイヤ。その開発思想と性能は、プロだけでなく、速さを追求するすべてのサイクリストの走りを支えてくれるはずだ。


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