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PROFILEDESIGN | プロファイルデザインについて聞いてみた #01

  • PROFILEDESIGN

カワシマサイクルサプライとの関係が最も深いブランドの一つ「プロファイルデザイン」。
今回は、サイクルスポーツ編集部の協力のもと、サイクルモード東京2026を視察に訪れたプロファイルデザインのプロダクト・マネージャーを務めるイアン・スコット氏に会期中の取材を申し込み、快諾してもらった事で実現した。

Question.
プロファイルデザインとはどのような企業で、どのような想いを込めて製品を世に送り出しているのか?

この疑問の答えを探り出すために、ブランドの成り立ちや開発思考、製品に込められた想いをイアン・スコット氏に問いかけ、それに答えてもらう形で、共に紐解いていきながらアンサーを探る。


#01 About PROFILEDESIGN

葉桜の季節と言えば聞こえは良いが、季節の変わり目が迫っていることを予見させるには十分過ぎる、夏めいた空気が日本を包みこみだした頃、彼は来日した。
ニュージーランドから日本まで、直行便であってもおよそ12時間かかる長旅。
だが彼にとっては慣れたものだ。
サイクルモード視察の来日だけでも二桁は優に上回るイアンは、実はプライベートでも日本に訪れるほどの大の日本通。
今回日本のサイクリストや、トライアスリートに向けたインタビューを打診したところ「喜んで引き受けるよ!」と即レスしてくれたナイスガイである。

THE ANSWER編集部(以下TA):まずはプロファイルデザインというブランドの成り立ちについて教えてください。

イアン:私たちのブランドは1988年にスタートし、現在創業38年目です。
創業者であるビル・パワーズが、現在のプロファイルデザインにつながる製品開発をスタートさせたきっかけは、1989年のツール・ド・フランスでグレッグ・レモン*1 が8秒差で優勝したタイムトライアルステージのフィニッシュを見たのがきっかけだったと思います。
少し前にエアロバーが登場し、その当時グランツールで使用され始めたのです。
私たちはスコット社と特許に関する契約を結び、エアロバーの特許を使用できるようになりました。そこからプロファイルデザインは成長していきます。
さらに1年後の1990年には、カワシマサイクルサプライがプロファイルデザインの取り扱いを開始しましたよね。それ以来36年間、カワシマサイクルサプライは私たちのディストリビューターであり、現在最も長い取引先です。
*1 1986年、1989年、1990年にツール・ド・フランス個人総合優勝を達成したほか、1983年、1989年の世界選手権を制しているレジェンドライダー。

TA:私たちが最も付き合いが長い取引先とは嬉しいですね。
ところでメインの取り扱いカテゴリーは、なぜトライアスロンだったのでしょう?

イアン:シンプルに言えばブランドがそこからスタートしたというのが大きいですね。
これまで多くの競合が現れては消えていくのを見てきました。
その中で、私たちはエアロダイナミクスに特化した研究開発部門を初期から持ち「いかに身体にフィットする製品を作るか」そして「すべてをモジュラー化すること」に注力してきました。つまり、あるパーツを別のパーツへ組み合わせられるような設計ですね。
私たちは、私たちがよく理解している分野にフォーカスし続けようとしています。エアロバーについて非常によく理解していますし、トライアスロン・マーケットや顧客が何を求めているかも理解しています。また、キャニオン、サーベロ、ウィリエール、BMCといったパートナー企業が必要としているものも、フィードバックを基にしっかり把握しています。
さらに、アスリートが何を求めているのかも。
だからこそ、私たちは「製品」ではなく「体験」を売っていると公言しています。お客様は製品を購入しますが、その後もライザーキットや交換用パッドなど、さまざまなアップグレードを行います。

取材に応じてくれたイアン・スコット氏 Photo: CycleSports

TA:体験という意味ではレースイベントへの出展やスポンサードにも積極的ですよね。

イアン:その通り! 私たちの製品を使うコンシューマーが出走するイベントに、私たちは年間120前後参加しています。どのような体験をしているのか見たいですし、私たちもそういったイベントに参加したいと考えています。

つまり、単に製品を販売しているのではなく
「より、速く走れるようにする」
「快適に走れるようにする」
「バイクを降りた後に、しっかり走れるようにする」
―そういった体験そのものを提供しているのです。

現在では、グラベルやバイクパッキング向け製品群も展開しています。アドベンチャーライド向けの製品で「アドベンチャー・シリーズ」と呼んでいます。
これは、「楽しみながら走りたい」というユーザーを意識したものです。サドルバッグを付けたり、エアロバーにバッグを装着したり、そして別の乗車ポジションを求めたりする人たちですね。
今では、トライアスロン以外で最も成長している市場だと感じています。そして、その市場のほうが私たちに近づいてきた感覚ですね。先ほど言ったように、向かい風の中を大量の荷物を積んで走るとき、人は風を避けられるポジションを求めます。これは私たちがトライアスロン業界で提供してきたことと非常に似ています。なので、私たちは少しずつトライアスロン市場だけではなく、他のカテゴリーにも進出し始めています。今はとても面白い時期ですね。

TA:最初期のヒット作はエアロバーだったと思いますが、当時のプロダクトで最も意識した点は?

イアン:私たちがブレイクした当時については、私はまだ若すぎて、その頃の優先事項を完全に把握しているわけではありません。ただ、最初のエアロバーを開発していた時代、開発者達は「どう風を切り裂くか」を追求していました。
初期の製品を振り返ると、基本的には一体型のアルミ製で、ここにステム用のボルトがあり、先端にシフターが付いているようなシンプルな構造でした。実は、当時から本質的にはそれほど大きく変わっていないんです。
ただ現在では、よりエルゴノミクス(人間工学的)で、よりエアロダイナミクスに優れた製品を作ろうとしています。つまり、この38年間で根本的な考え方は変わっていません。変わったのは、その実現方法やテクノロジーです。アルミやカーボンをどう扱うか、そのプロセスが進化してきました。
そして先ほども言ったように「いかに身体にフィットする製品を作るか」が、私たちにとって非常に重要です。
最終的にユーザーが理想的なポジションを取れること、長距離でも快適に走れること、そしてバイクを降りた後にしっかり走れること―それが非常に重要だと考えています。

TA:現在のプロファイルデザインのポジションを獲得するに至った経緯として、当時の競合他社と何が違っていたと感じますか?

イアン:創業者のビルがスタートした頃から、非常に速いスピードで製品開発を進めていたと思います。ただ、それ以上に彼が重視していたのが、初期段階から流通ネットワークを構築することでした。世界中で製品をサポートできる体制を整え、どこでも製品を購入できるようにしていったのです。そしてそれは、今でも私たちの最もベーシックな哲学のひとつです。
私たちはバイクブランドに対しても製品を供給していますが、もし問題が起きても、各国の代理店を通じてサポートを受けられるという安心感があります。カワシマサイクルサプライがプロファイルデザインを取り扱い始めた後、数年してからドイツやイギリスの大手ディストリビューターと契約しました。やはり流通ネットワークは非常に重要です。なぜなら、人々は「今すぐ」欲しいからです。オンラインで注文して何週間も待ちたいわけではありません。その場で購入したい。だから流通が鍵なんです。
また、少し話が前後するかもしれませんが、ビルは「ディストリビューターが取り扱いたいと思うだけの十分な製品ラインナップ」を持つことも重視していました。だから製品開発のスピードが速かったんです。

トライアスロン黎明期を思い返すと、スコット・ティンレイ*1 、デイブ・スコット*2 、マーク・アレン*3 といった選手たちが、まだ初期のエアロバーに乗っていて、かなり風を受けていました。そこからプロロードレースの技術を取り入れ、よりエアロダイナミクスを追求していったのです。それは非常に重要だったと思います。
そして、先ほども言ったように、今でも残っているブランドは本当に少ない。私たちは最初期から存在し、そして今も残っています。本当に多くのブランドが現れては消えていきました。
*1 アイアンマン世界選手権 優勝2回を誇る、初期トライアスロンの象徴的存在。 *2 アイアンマン世界選手権 6回優勝のレジェンドで初代アイアンマン殿堂入りを果たす。 *3 史上最高のアスリートとも称され、完成されたアイアンマン像を作り上げた。アイアンマン通算6回優勝。

TA:トライアスロン業界にエアロバーを広める一翼を担ったプロファイルデザインですが、アスリートの走りはどのように変化しましたか?

イアン:現在の私たちのR&D(研究開発部門)ディレクターは、バイクフィッターであり、エアロダイナミクスのスペシャリストでもあります。そのことが、現在の製品設計に非常に大きく役立っていると思います。
先ほど別の質問でも触れましたが、私たちの製品は非常に機能的で、ユーザーフレンドリーであることを重視しています。そして、それこそが他社に対するアドバンテージだと考えています。
私たちは、非常に幅広い製品ラインナップを展開していて、さまざまなタイプのユーザーに対応しています。
初めてトライアスロンに挑戦する人から、「可能な限り速くなりたい」と考えるトップレベルのアスリートまで、それぞれに合った製品を提供できる。それが私たちの大きな強みのひとつだと思います。もちろん、ハイエンド製品の中にはかなり高価なものもありますが、最高のパフォーマンスを求める人たちは、その価値を理解して投資してくれています。

長くなってしまったので#02へ続く…


PHOTO & INTERVIEW: Hiroyuki Oya – CycleSports
EDIT: Hirofumi Fukuda

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